新横浜駅前のケーキ屋K

　「放浪記」２０００回を達成し、国民栄誉賞、文化勲章を受けた国民的女優森光子さん（本名・村上美津）が１０日午後６時３７分、肺炎による心不全のため都内の病院で亡くなった。９２歳だった。

　森さんと親交が深かったジャニーズ事務所も１４日、突然の悲報で悲しみに包まれた。「突然のことなので少し時間を下さい」としてお悔やみのコメントを一切出さなかった。

　ジャニーズタレントにとって、大先輩でもあり、母親のような存在だった。森さんはジャニーズタレントの出演舞台があれば、足しげく劇場に足を運んだ。体調不良になってからも、タレントたちを陰で支え続けていた。ＫｉｎＫｉ　Ｋｉｄｓ堂本光一や滝沢秀明が舞台に立つ時は、毎日のように栄養バランスが行き届いた弁当を手配した。少年隊の東山紀之とは、食事だけでなく、ディズニーランドに行くなど“恋人”と称されるほど、懇意にしていた。亡くなる直前まで売り出し中の若手タレントにも常に目をかけ、舞台公演があれば、メッセージや花を贈っていた。

　森さんは積極的に若手タレントとドラマや舞台で共演した。森さんとの共演はジャニーズの演劇界進出に大きく貢献した。事務所社長のジャニー喜多川氏（８１）は、若手タレントの成長を温かく見守り続ける森さんに対し、常に敬意を払い続けていた。

　森さんの最後の舞台となった１０年「新春　人生革命」はジャニー喜多川氏が作・演出・構成を担当した。滝沢をはじめ若手を大勢出演させ、森さんが熱望したジャニーズが得意とするフライングも安全な形で実現させた。森さんが舞台「放浪記」を中止した際、代替公演にジャニーズＪｒのショーを企画したのもジャニー喜多川氏だった。ジャニー喜多川氏が森さんの訃報を知ったのはこの日と思われ、終日、東京・帝劇で上演中の舞台を見守っていた。

　強い信頼関係と絆で結ばれていた森さんの訃報は、ジャニーズ事務所にとってあまりにも大きく、悲しい別れとなった。